【Netflixで話題】「地面師」による被害は税優遇あり?
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地面師による被害を税務の視点で解説
POINT
- 地面師による被害は「雑損控除」の対象として所得から差し引くことが可能!
- 雑損控除は災害、盗難又は横領が対象!詐欺は対象外!
- 災害で住宅・家財に著しい損害を受けた場合、「災害減免法」による所得税の軽減措置もあるため、被災した場合は専門家に要相談!
Netflixで話題の「地面師たち」
綾野剛と豊川悦司がダブル主演を務めるNetflixシリーズ「地面師たち」が、日本での週間ランキングで2024年7月25日の配信開始以降、5週連続首位をキープする快挙を達成しました。「地面師たち」は、2017年に積水ハウスが西五反田の旅館の土地の売買で、地面師グループに約55億円もの大金を騙し取られた実際の事件をモデルに作られた作品です。
地面師とは、他人の土地や建物を自分のものであるかのように偽って第三者に売ったり、担保に入れてお金を借りたりすることで、大金を騙し取る犯罪集団を指します。
地面師による被害は税優遇あり?
結論から言うと、地面師による被害は「雑損控除」の対象となります。雑損控除は、災害、盗難又は横領によって資産に損害を受けた際に一定の金額を所得から差し引くことができますが、詐欺の場合には適用されません。振り込め詐欺などの被害の場合は、盗難や横領と異なり、あくまで自分の意思で振り込んでいるため、税優遇はありません。一方で、地面師による被害は自分の意思とは関係なく、不動産を勝手に他人のものとされてしまうため、盗難・横領の一種と整理され、雑損控除が適用できます。
雑損控除の計算方法
計算式
①と②のうち多い方の金額が「雑損控除」として所得から差し引くことができます(税率を掛けた後の所得税額から差し引くわけではありません)。
①損失(*1) - 総所得金額 × 10%
②損失のうち災害関連支出(*2)-5万円
(*1)保険金などで補てんされる金額を引いた後の金額
(*2)災害により滅失した住宅や家財などを取壊し又は除去するために支出した金額
【例】災害による損失1,350万円、保険金1,300万円、総所得金額500万円、損失のうち災害関連支出30万円の場合
①(1,350万円-1,300万円)-500万円 × 10% = 0円
② 30万円-5万円 = 25万円
➣①と②のうち、多い方の金額である25万円が雑損控除となり、所得から差し引くことができます。
最後に
「地面師たち」は私も全話観ましたが、緻密な計画や大胆な手口に驚かされる一方で、被害者の苦悩や地面師の非道さがリアルに伝わり、非常に引き込まれる内容でした。社会の裏側に潜む犯罪の巧妙さと恐ろしさを改めて感じさせられるとても面白い作品でした。
災害、盗難や横領などにあった場合には、雑損控除を適用してしっかりと税優遇を受けたいものです(全ての損害が雑損控除の対象となるわけではありません)。また、災害により住宅や家財に著しい損害を受けた場合には、「災害減免法」による所得税の軽減措置もあり、「雑損控除」との有利な方の選択適用となりますので、被災された場合にはお早めにご相談下さい。
- 雑損控除は被害を受けても自動的に適用がされるわけではなく、確定申告が必要となりますので、詳細は税理士へご相談下さい!
※記事の内容は、投稿時点での税法その他の法令に基づき記載しています。本記事に基づく情報により実務を行う場合には、専門家に相談の上で行って下さい。